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第34話  消された名前

last update Fecha de publicación: 2026-10-16 19:00:02

古い資料室を出ると、外はすでに夕暮れだった。

窓の向こうに見える街並みが、薄い橙色に染まっている。

「今日は、ここまでにしよう」

高瀬がそう言った。

美咲は手元のコピーを見下ろした。

五つの資料。

そこに記された数字──十八、三十二、七、十一、四。

そして、すべての資料に何らかの形で残されていた相沢直人の痕跡。

ただ一つ。

「4」の資料だけは違った。

相沢の名前がない。

けれど、相沢が確認したことを示す印だけが残ってい
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    「午前六時十二分……」 美咲は、資料に記された時刻を指でなぞった。 事件が起きたのは、五年前の六月十八日。 そして、見吉圭が黒崎グループに入館したのは、その翌朝。 六月十九日、午前六時十二分。 「契約終了日は六月十九日になっています」 美咲が言う。 「つまり、契約が切れる当日に、わざわざ会社へ来たってことか」 高瀬が腕を組んだ。 「はい」 「しかも、こんな早朝に」 二人は顔を見合わせた。 普通の出勤時間ではない。 まして、契約終了を控えた社員が、朝の六時過ぎに会社へ来る理由など簡単には思いつかなかった。 「入館した場所は?」 高瀬が尋ねる。 美咲は記録を確認した。 「社員用入口じゃありません」 「どこだ?」 「地下搬入口です」 高瀬の表情が険しくなった。 「……18番か?」 「そこまでは記録にありません」 美咲は首を振った。 「ただ、地下フロアへの入館記録になっています」

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